コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

ミクニヤナイハラプロジェクト『青ノ鳥』

ミクニヤナイハラプロジェクト『青ノ鳥』(90分)
アフタートーク:松本力、桜井圭介、矢内原美邦


ダンス主体の実験的カンパニーと呼べるであろう
ニブロールの主宰・矢内原美邦の作る演劇世界。
大学院生物(植物・昆虫)研究室の11人が、
研究所で実験データを整理し、生物サンプルを採集しに
森の奥地に出かけようとしている。
環境や動物愛護への問題意識と諦念、
早口でやりとりを交わす。
演劇シーン:大量の早口台詞回しと時折の絶叫。
少しの日常動作を誇張した踊りっぽい何か。
ダンスシーン:意図的にベタなのかセンスを疑うが、
マリンシャツに黒タイでキャンプファイア的踊り。
演劇シーンとダンスシーンの繰り返しが数セット。


やや冗長だった。
特に後半は通常のニブロールの模倣、
しかもセリフメインで、私ことダンス・ファンの好む
ダンス−ダイナミズムがふやけた感じ、を受けた。
演劇はキャラが立ってほしいかな。
コンテンポラリーダンスでのダンサーのキャラは薄味でも問題ないが。
アフタートーク矢内原美邦さんご本人が言っていたが、
ダンスは直感的かつ抽象的なもので主に成り立つが、
演劇はそれだけでは成立しない。


鈴木将一朗氏(白い鳥かごを持ち運ぶ、
メンバーで唯一黒い運動靴を履かず赤いスリッパで、
森で鳥を探して回るマルオさん)の
天性のダンサー度に涙腺が緩む。
彼の内部に発電機が見えた。鈴木将一朗は音楽だ。
動きに無駄がない。
末端の神経に至るまで意識が行き届き。
それでいて自意識過剰を全く感じさせない。彼は無だ。
費やされた練習量を想像させた。


チェルフィッチュと比べるのは良くないが、
似た系統としては、チェルフィッチュのほうが断然、
狙いと語り口が明確だ。


追伸
松本力さん(映像)の「カンパニーの頭の上あたりを
ぽやぽやしているものを掴んで映像にする」
というキャラが可愛らしかった。