コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

やりがい

仕事の用で、街で買い物をしていたら、パン屋の常連のお客さんに遭遇した。


白髪(ほとんどないけど)のメガネをかけた丸顔のおじいちゃん。
陽気でよくしゃべる。いつも同じ焼き菓子を買っていってくれる。
たまに欠品しているとずいぶん文句を言うけれど、
根が陽気でおしゃべりな人なので、
そんなにひどいことは言わない。
「苦情/クレーム」というほどでもない。


遭遇して、思わず声をかけてしまった。
「こんにちは!」
おじいちゃんは私のことがよくわからない。
当然だ。私は私服のコートを羽織っていた。


「パ、パン屋ですっ…」
「あ〜? あ〜!」とおじいちゃん。
「コート着ていたからわからなかったよ…」


嬉しいことに、私が用を済ませて店に帰ると、
おじいちゃんはパンを買いに来てくれていた。
レジの女の子に、「総理」と「首相」の違いを説明していた。


ポイントカードが貯まったので、パンと交換する。
ポイントカードには、交換の際に、名前や住所を書く欄があり。
おじいちゃんは、名前を書くときに、
小泉純一郎って書いちゃおうかな」と茶目っ気たっぷりに言った。
大学生の女の子はわりあいクールに対応していたけれど
(というか彼女はいつもクールだ)、
私はそういうの、好きだなあ。面白いおじいちゃんだ。
ちょこちょこと、3人でおしゃべりをする。


街で声をかけなかったら、
今日は来ていなかったかも。
声かけてよかったなあ。
また売上が増えたぞ。
(微々たるものであるが、この積み重ねが売上をUPするのだ。リピーターを作るのだ。)


やっとこの町のリピーターに顔を憶えてもらえたかも。
町に根付き始める。






新宿の店に勤めていた頃も、常連のお客さんと話すのが楽しかった。
奥さんに先立たれたかもしれない、
パン屋に毎日ほぼ同じことをしゃべりに来る、
たどたどしい歩みで帰る、
細身ですっきりした格好の91歳のおじいちゃんとか、
身なりが汚くて異臭を放っている超肥満の命令するお姉さんとか、
工事作業後の汗まみれのお兄さんとか。


私はこのような人たちを受けとめているとき、
いちばん生きがいを感じる。
彼らと接することが、私の生きる道だと思う。