コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

Noism06『NINA─―物質化する生け贄』金森穣

Noism06『NINA─―物質化する生け贄 1st part』演出・振付/金森穣


NHK芸術劇場で観た。


半ばサイボーグのように動く白レオタードの女性たちと、
モードなブラックスーツを着用するスマートな男性たち。
男性が手を使って女性を操る。
女性の体は、こわばっている。なすがままにされている。
時折、かすかに抵抗する以外は。
ごく時折、男性のいないときに、ひっそりと動く数分間以外は。


一つの切り株のほかに何一つないアイボリーの床。
周りを黒い四面の壁が覆う。
弧絶した空間。


男性たちは、黒幕の外に出ていく。
裾を叩き付けながら。
そして数分後に戻ってくる。
何度か、これを繰り返す。


最後のパートは、一人の男性が女性と性交する仕草。


さらに、四人の男性が、それぞれ、四人の女性に覆いかぶさる。
女性たちの、それぞれ1フレーズごとにずれていく以外は一様な、腕と足による抵抗の悲鳴。


商品化される女性たちを示す舞台。
かすかな不快を覚える私。


オチは、男性たちが踊り、そのうちの一人が中央で、ブラックスーツを脱ぐ。
そこには、女性と同じモノトナスなレオタードがあるばかりだった……。





訴えるものはあると思う。(好みでないポルノグラフィを見て顔をしかめる程度に)
舞台に緊張感はある。(私がテレビを背に即興を始める程度に)
一人の男性ダンサーとほぼ全ての女性ダンサーの、体の強度や表現には驚嘆を覚える。
が、やはり彼の公演は私のなかを素通りする。


彼のボキャブラリーは結構色々出てくる。楽しんだ。
使い古されたテーマを、紋切り型にならず深く細密に描くのは難しい。


 
 
 
 
 

(まあ、彼のテイストが好みでないということですね。)