コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

Pina Bausch "Café Müller""Das Frühlingsopfer"

ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団「カフェ・ミュラー」「春の祭典
4月16日(日)14:00〜16:00 国立劇場三宅坂) C席7000円
http://www1.ocn.ne.jp/~ncc/pina06/program.html



 「カフェ・ミュラー」(1978)45分
  (休憩25分)
 「春の祭典」(1975)35分



千秋楽。満席。カーテンコール長し。いろんな人がスタンディング。盛大な拍手、コンテンポラリーダンスでこれに匹敵するのはH・アール・カオスのみ。ギエムの「ボレロ」もこれほどでなかった。熱烈を越えたファンがいる。


「カフェ・ミュラー
真夜中のカフェ。背景やや下手に回転扉。カフェはガラスで覆われ、外はオープンテラスのテーブルと椅子。オフホワイトのドレスを着た夢遊病の若い女。彼女の行く先のテーブルと椅子をどかし続ける紳士。夢遊病の中年の男。外に行こうとするも空しくガラスの壁に阻まれる。
ピナは、主役の女の影のように、女から少し離れた片隅で踊り続ける。目が離せない。凄まじい表現力。訴える背中に涙が溢れ出る。
娼婦のごとき髪の背の低い女。ミントグリーンのワンピースに灰色のコート、ショッキングピンクのハイヒールを鳴らし、焦ったように舞台じゅうを小走りする。
中年男にぶつかる夢遊病の女。抱き合う二人。彼らの動作を直す、突如現れた黒服の若いウェイター。二人の唇を触れさせ、男に女を抱きかかえさせる。女は男の腕から滑り落ちる。再び二人の動作を直すウェイター。また滑り落ちる。繰り返し、だんだん早くなる。
ほとんどのシーンに通底するオペラ悲劇音楽。
人間の根源的な孤独を癒す世紀の名作。魂の、最後の凍てついた氷が融け出す。生きていてよかった。


春の祭典
ストラヴィンスキーの音楽を生かし切れない振付。



緊張を強いられる作品群。劇場を出る頃には肩が凝りまくり。
「カフェ・ミュラー」は当時の彼女の苦しみが最高の形で結晶化した作品だ。昔観たピナの「七つの大罪」は生ぬるかった。今回は最高の舞台だった。
比べ物にならないが、『ベルリン天使の詩』を思い出した。



『Talk to Her』に収録された「カフェ・ミュラー」を観る
生の舞台には及ばない。