コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

『妻が結婚した』朴賢旭

 「妻が結婚した。これがすべてだ」。話者である夫がこう切り出す同書は、妻が重婚し、どちらの子とも分からない子供と4人家族を形成する経緯が描かれている。
 韓国を含む男性中心の社会では、最近まで男性の重婚はそれほど珍しくなかった。そうした男女の立場を逆転させた「一夫多妻制」やポリアモリー(複数の愛)をテーマにした本作は、発売から3ヶ月で10万部を超えるベストセラーとなった。
 あらゆる知識をもって一夫一婦制の「不自然さ」をクールに提議し、それを実行する妻に女性読者はカタルシスを覚え、妻に引きずられてばかりいる夫に男性読者は鬱憤を募らせる。哲学を専攻した著者の軽快な筆致は一気に読ませる力を持っている。
 キム・フナ(日本文学研究者・翻訳家) 本日Y新聞朝刊

『妻が結婚した』朴賢旭(パクヒョヌク)著 分以堂(ムニダン)刊
韓国語。第2回世界文学賞当選作。

ISBN:8974563304:detail
http://shop.innolife.net/shop/list.php?ac_id=22&ai_id=44323


新しい結婚のかたちとは何だろうか。