コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

甦る色彩〜藤原大イッセイミヤケクリエイティブディレクター

カラーハンティングではもう一つ、変わった試みをした。リオデジャネイロや東京の町を撮影した写真を風車のようにぐるぐる回転させ、混ざり合った色をストライプで表現したのだ。


回転が速ければ色彩は失われる。だが、少しゆっくり回すと、例えば、グレーっぽく見えた電車の車内の写真から、様々な色の帯が浮かび上がった。モノトーンに見える世界にも、色が隠れていることを知った。


藤原は写真の回転速度を、我々が生きる現代社会になぞらえる。時間に追われ、スピードを求めすぎれば、生活から彩りが失われる。だが、ちょっとゆとりを持つだけで、日常に色彩が戻る。「忙しい時は黒を着てしまえば楽。そこにさっと色を加えられるかどうか。自分自身でスピードを調整しないと、豊かな色彩を忘れてしまう」


(略)
「生地に潜む色に包まれて気分がよくなるような服を生み出したい」と藤原は願う。


藤原大 イッセイミヤケ クリエイティブディレクター
「本物の色を盗む〜藤原大の挑戦」『The Nikkei Magazine』March, 2009