村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
言わずと知れたベストセラーであるため、今更語るべきものはない。
ダンナに薦められたため、暇つぶしに読む。
・父の設定:多崎つくるの父は、登場グループの5人のうち一番裕福である。
また、父とつくるの関係は、薄い。
Q. 父像が希薄であることと、
村上春樹の主人公が常に抱える底無しの虚無感は、
関連するか?
年始に実家に帰ったのだが、
父は怖かった。
私のなかのイメージでは常に怖いのである。
親父は、地震、雷より怖い。
また小さな言い争いになった。
小さい頃は言い返せなかった。今は言い返すのである。
しかし、必ず弱みを突いてくる。
ダンナにそのことを話すだけで泣けてくる。
☆
実家に、二世帯住宅で住まう、という父の案が、
果たして、自分たち二人の幸せにつながるのか?
ここ数年、考える。
それは、地獄に戻るようなことだ。
喉元を過ぎれば、そのことを、忘れてしまう。
お金のことだけを考えれば、
二世帯住宅の提案は非常に有難い。
・多崎つくるは、高校のグループ4人と決裂した後も、
グループのうちの2人であった女性たちのイメージに脅かされる。
性夢を見る。
Q.私のなかの強烈な白人イメージは虚像である。
どれほど、どのように、虚像なのか?
中学時代のアメリカホームステイでの経験から、
このイメージは植えつけられたと推論する。
「幸せ」=「白人アメリカ家庭」
そうではなく、たまたまあの家が安定していた。
ホームステイ受け入れできるくらい、
家族のつながりと経済が安定していた、ということだ。
後年、別の家庭にホームステイに行った際は、
安定とはほど遠い、言い争いの毎日。
食事も少なく、ひもじく、飢えるかと思ったのである。
イメージ、一般化は、
だんだんと分岐し、細々とした現実を認識できるようになる。