コンテンポラリーダンスと英語とねことパンの日々
    

静謐な谷

私の彼は日本人だ。
不可解で不思議な感じがする。
思春期から、外国人とばかりつきあってきた。
外国人が隣にいるのが、自分にとって自然に思える。
外国人の彼は、"完璧"。
いや、そう見えるだけだろう。
私は、日本人の彼を選ぶ。
彼自身に流れている音楽が好きだから。


今や国籍は関係なく。
ビジョンであった国際結婚も
風に吹かれたようにどこかへ飛んでいってしまった。
あれは一体何だったのだろう。
 
 


かつて
自分のつきあっている人達にさえ、
吐き気を催した。
なぜかもわからなかった。
未だにフランスは、私にとって、
愛憎相半ばする国だ。
おそらくこれが、多くの人が母国に持つべき
"正しい"認識なのではなかろうか。
アメリカと日本については、
スプリットしているかもしれない。
アメリカはその犯罪と暴力と稚拙さを
超えた魅力を持って、
いつも私に訴えかける。
私と共にいる。
果てしなく広がる地平線の、
黄や赤の乾いた砂と大地と、人びと。
日本については、
多くを受け入れられるようになった今も、
無意識のうちに憎んでいるのかもしれない。
 
 
私の彼は日本人だが、
彼の奏でる
限りなく闇に近い藍色の谷に降りて行きたい。
そこには永遠の安らかな眠りがある。


それは、多分、
激しく憎悪し
恥じてきた
自分自身を
やっと 少し
愛せるようになった
ということではないだろうか。
 
 
 

"But I tell you what...music matters to me. Music talks. About your sounds. Your body clocks and rhythms. I adore him as an artist. He's been surrounded by jazz, classical piano, healing music.....it's peaceful here. I like to listen to the music around him. He's serene."